2019/8/5 billage OSAKAにて「U-25 kansai pitch contest vol.2(関西若手起業家ピッチコンテスト)」が開催され、8名の起業家が登壇しました。イベント後半は「シード期の資金調達」をテーマに審査員4名がトークセッションを行いました。
松山馨太 氏(以下、松山):皆さん、こんにちは。
会場:こんにちは。
松山:YJキャピタルの松山と申します。トークセッションということで、シード期の資金調達というテーマでお送りさせて頂きます。最初に自己紹介ということで、YJキャピタルの松山と申します。YJキャピタルでは主にCode Republic(コードリパブリック)というシード期のスタートアップを対象としたアクセラレータープログラムを運営しています。また、シード期以外ではメディア・マーケティング領域の純投資を担当しています。
それでは、登壇者の皆さん、簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいですか。北尾さんから。
北尾崇 氏(以下、北尾):はい。サイバーエージェント・キャピタルの北尾と申します。よろしくお願いします。
サイバーエージェント・キャピタル自体は、サイバーエージェントのグループの中でベンチャー投資をやってる子会社なんですけど、シナジー投資というよりは、いわゆる純投資というか、インターネットに関連すれば何でも投資対象にしてます。
古くは、98年にサイバーエージェントを設立して、2000年に上場し、2000年前半から投資をやってました。当時はまだファンドとかつくってなかったんですけど、ミクシィとかDeNAとかに投資をしてました。サイバーエージェント・ベンチャーズとして投資機能を子会社化したのが2006年からで、ファンド形式で投資活動を行なっていたのが2011年から、そして2019年からその社名を新しくし、サイバーエージェント・キャピタルとして活動をしています。
主にシード、アーリーの企業に投資してまして、1,000万~5000万ぐらいの資金を提供させていただいてます。あとは、「藤田ファンド」という20代起業家を対象にシリーズAあたりで1-2億円のレンジでの出資枠もあります。藤田ファンド自体は、以前からやっていて、WantedlyやBase等にも投資をしていたのですが、昨年12月から更に力を入れてやっていくということで再開しています。
僕自身はもともとVCを始める前も、自分自身で起業をしてた時期があって、そのとき大阪大学だったんですけど、大学を休学して、メキシコという国に行って、そこで3年ぐらい会社をやってました。最後に、メキシコ人に事業を譲渡して日本帰国して、もう一回起業しようとしたタイミングで今のVCに出会ってという形だったので、投資をやってるんですけど、結構事業が好きなほうかなというふうに思います。
他にもいろんな取り組みやってるので、後でご紹介とか有益な情報をお出しできればなというふうに思ってます。よろしくお願いします。
(会場拍手)
萩谷聡 氏(以下、萩谷):初めまして。株式会社KVPの萩谷と申します。
KVP自体はシード、アーリー向けのVCを行ってます。親会社は、KLab(クラブ)株式会社という上場してるモバイルゲームの会社があるんですけど、その100%子会社でやっています。ただ、ファンド自体は親会社のお金はほんと一部で、外部からお金を集めて独立系のVCとしてアクティブに活動しています。
3年半前ぐらいから立ち上がっていて、今、シード、アーリーで62社に投資してます。1,000万~8,000万ぐらいまでをシードに投資していて、特徴としてはプロダクトがない段階で投資してるのが4割ほどあったりもするので、そこから一緒に立ち上げていくという形でやっています。
ミッションとしては、やっぱりシードでリスクを張って投資するプレーヤーって、まだまだ日本もこれからの時期なので、そこでしっかりリスクをとって投資して、その次のステージまで起業家のビジョンを持っていくというビジョンでやっています。
僕自身は、親会社のKLabに新卒で入って、ゲームのディレクターを2年間ほどやっていて、こちらの業界に来て、5年ほど経っているという形です。本日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
白井良平 氏(以下、白井):皆さん、こんにちは。ABCドリームベンチャーズの白井と申します。朝日放送のコーポレートベンチャーキャピタルになります。2015年、今から4年前に「日本の放送局では3番目にCVCをやるか」ということでつくりました。
去年までは拠点が大阪にあったんですけど、今は東京に拠点を移して投資活動をしています。
その当時つくった1号ファンドが12億で組成したんですけど、これがもう終わってしまいまして、2つ目をつくろうと今は頑張っています。
放送局ですが、新しいことはそんなに得意な会社ではなくて、目的としましては、会社の中に新しいものを持ち込むというのが、一番のミッションになっています。
なので、投資してるステージはバラバラでして、1号ファンドはシードからレイターまで幅広く全部1回は投資させていただきました。
今の2つ目のファンドは、アーリーからミドルぐらいで、当社グループと一緒に何かやれる会社を、日々ソーシングしています。なので、また関西での投資もどうしようかなと思っています。
今日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
松山:ありがとうございます。
それでは、早速ですが、シード期の資金調達というテーマで話を進めたいと思います。
僕も色々な起業家の方に相談を頂くのですが、一番よく聞かれるのはどういう点を見てるのか、評価基準的なところかなと思います。よく「チーム・マーケット・プロダクト」みたいな話があると思うんですけども、シード期において、皆様の中ではどんな点を評価されているのかをご意見いただければと思います。
北尾:ちなみに、松山さんはどうなんですか?
松山:我々のアクセラレータープログラムCode Republicでは、最初に創業資金として700万円を投資させていただき、毎週メンタリングを実施、最後にデモデーを開催するというフォーマットが決まっています。
評価基準も「チーム・マーケット・プロダクト」のそれぞれの指標毎に基準を定めています。まずマーケットに関しては、最低でも市場規模1,000億円以上としています。
プロダクトは、大きく3つの項目に分かれるんですけど、1つ目は誰のどんな課題をどう解決してるのか、当たり前のことではあるんですけども、そこが明確になってることを重視しています。2つ目は競争優位です。競合をきちんと調べて、競合に対する優位性があるかを判断します。3つ目は競合に比べて選ばれているか、MVP(Minimum Viable Product)の検証によりニーズが証明されてる状況にあるかという3つがプロダクトの観点です。
チームに関しては、複数の項目がありますが、重視してるのは、まず1つは視座の高さ。大きな夢や志が、マーケットにもつながってくるのかなと思ってます。
もう1つは、ファーストアイデアで成功している起業家は非常に少なく、仮説検証やピボットbの繰り返しで成長していくため、地道に仮説検証を繰り返せるか、過去の経験などを踏まえ評価しています。
3つの分類でいくと、そんなような軸で見てる感じですね。
北尾:なるほど。最近、Code Republicさんの支援って、事業をピボットしている印象がありますが……
出資先で、採択される前後ぐらいで事業が変わってもピボットするならいいみたいな。要は、人物がおもしろそうだからチャレンジしてみたらどうか、という枠も足されてる印象だったんですけど、そういうのもありますか?
松山:そういったケースもあります。最も重視してるのはチームですし、ほとんどの企業が何らかの形でピボットや方向転換はしています。
萩谷さんはいかがですが?
萩谷:そもそもシードステージといわゆる言われるものと、プレシードと言われるものがあると思うんですよ。
シードだと、ある程度プロダクトも見えてきて、ユーザーがつき始めているタイミング。
プレシードは、ほんとに人だけしか決まってなくて、この市場でこういうプロダクトを出して、こういう仮説があるから、こういう課題解決できて、というフェーズ。ただ、何もないからバリエーションにははね返ってきて、低い株価で投資するタイミングの2つがあると思ってます。
投資については、基本的にはマーケットと経営チーム、それと条件で、大きく分けて決めるかなと思います。シードとか若手の段階で見ると、何が起きるかわからなくて、仰ってたように同じ領域内のピボットすることも多いので、経営チームとか経営者の素直さや柔軟さは重要視しています。
あと、巻き込み力みたいなのものも僕は重要かなと思っています。シード段階でプロダクトをつくり切れないことがあったりするので、そういったときにエンジニアの方をしっかり巻き込めるか、優秀な方をCOOとか経営陣レベルで引っ張ってこれるか、みたいな部分をシード段階で人を見るときに重要視してるかなと思います。
松山:ありがとうございます。北尾さんはいかがですか?
北尾:今日のイベントは、「U-25関西ピッチ」という年齢の制約が入ったものなんですね。プレゼンのレベルが高かったので途中ちょっと忘れてたんですけど……自分の投資先を見てみたら、アンダー25のときに投資してる会社が結構多くあったんですよ。
御存じかわかんないですけど、Taimee(タイミー)という会社とか、僕が投資したときに代表は20歳か21歳ぐらいで……POL(ポル)とかPayme(ペイミー)という会社とかも。あと、DogHuggy(ドッグハギー)というペット版のAirbnbみたいなことをやってる社長も、18歳で学ランを着て、資料をパワポじゃなくて紙に書いて持ってきたんですよ!
最近社内で、どういうところに投資してきたかを言語化しようという動きがあって、VCって実はあんまり言語化してなかったりするので、どういうところに投資してきたか振り返ってみたんですよ。ネット界隈の人なのか、非ネット界隈か。学生か社会人か。プロットだったら間違えないので、ざっくりと分けてみたんですよ。
今日のイベントはU-25ということで、学生が多い。その中で、「ネット×学生」領域で言うと、TaimeeやPOLがまさにそうだったんですけど、先ほど萩谷さんが仰ってたように素直でいい人で、地頭がいいみたいなところを見ていると思います。
やっぱりスタートアップって、いろんな苦難がある中で、柔軟にやっていかないといけないので、何でもスポンジみたいに吸収できないと辛いシチュエーションが多い。
あと、組織をつくっていくと、人に対する優しさや愛とか……ユーザーやクライアントに対してもそうですけど、そういうのがないと難しいと思います。一人でやっていく段階なら、ある程度、優秀ならいけると思うんですけど、組織をつくっていくフェーズになると、その辺も大事だなと思います。地頭というのは、PDCAを回せる胆力があるかどうかだけでなく、そういうところも含めて見ています。
「非ネット×学生」領域というのは、僕たちでいうDogHuggyの子が当てはまりますね。元々は麻布の獣医の附属高校にずっと通っててペットに関するスペシャリストでした、とか。他には、京大発の子で、バックテックという腰痛や肩こりのsaasサービスをやってる会社があるんですけど、博士課程でもずっとスポーツ科学みたいな領域をやってた、とか。そういう研究者みたいに何か1つの分野にどっぷり浸かってる人は、何となく投資してたなという印象です。
もちろんそれ以外にもあるんですけど、整理すると、1つのことにずっと何かやってたみたいな人、もしくはネットが好きで素直で柔軟でいいやつで地頭がいいみたいなところも基準になってるのかなと思いましたね。
萩谷:確かにサービスのグロースのさせ方は、VCやエンジェルの方がノウハウを持っててそこはしっかり提供できるので、「元々の種みたいな部分があるかないか」みたいなことなんでしょうね。
北尾:そうですね。
社会人側のほうは、「ネット×社会人」領域で言うと、一言で言うと、事業会社のエース人材だった人を選んでた印象でした。Paymeの後藤君がそうなんですけど、「DeNAでずっと活躍してました」とか、Dine(ダイン)というデーティングアプリがあるんですけど、それもDeNAのゲームの分野にいたエースの人がスタートしてたり……。もちろんそんなピカピカな人ばかりじゃないんですけど、わかりやすく言語化するとそういう印象です。
もし事業会社に今お勤めで起業をお考えの方がいらっしゃれば、今ってリファレンスとかもなかなか多い時代なので、そこで十分活躍されてると調達しやすかったりもあると思います。退社する会社に対して応援されやすいやめ方というのは理想だと思うので、そういう形での起業もいいのかなとは思います。いろいろと振り返りながら見つかったことです。
松山:なるほど。やっぱり「人」が重要要素に感じますね。白井さんのところは、投資基準やどういう人を評価してるのかなどあったりしますか?
白井:スタートアップなので、何か一点突破できるような人がいいんだろうなと思うんですね。
いろいろと高望みしたらキリがないですし。自分より柔軟で、自分より地頭がよくて、プログラミングもわかってますっていう人間、100人会って1人いたらラッキーぐらいだと思うんですよ。
でも、それだと全く投資できなくなるから、「1点、これだけ負けない」とか、「これをスタートアップすることが幸せです」みたいな、そういう人じゃないと無理なんじゃないかなとは思いますけどね。
スタートアップしてやりたいことをやってるわけであって、そういうのが苦とならないような人間でないと、その後に待ち構えてる出来事をクリアできないと思うんです。
基準として、「頭がいい」だけではやっぱりダメで、「世界中のみんなが死んでもこいつだけ生き残ってそう」みたいな。50社あったら1社あるかないかぐらいだと思うんですけど、投資の観点だけで言うのであれば、そういう人をいかに捕まえられるかというのがすごく重要なんじゃないかなと思いますね。そういう人間をどうやって発掘できるのかなというのを、当社の中でも話をしています。
我々は事業会社なんで、本来であれば、そういう一点突破できるような人材を我々から輩出できたらいいんですけど、それがなかなか難しいです。基準としては「うちの会社に絶対おらんような人」というのは、一応設けてますね。
松山:プレシードの投資先に対して投資以降の接し方やアドバイスとかって、皆さんはどういうことを主にやられているんですか?
北尾:フェーズによってバラバラですね。僕でいうと、シードの会社が20社ぐらいのうち50%ないぐらいで、ミドルとIPO準備中みたいなところが、それぞれ25~25%ぐらいなんですよ。
後者のほうは、もうあんまり何もしてないに等しくて、リードVCさんが後からどんどん入ってくださるんで、彼らがどんどん応援してくれるという感じです。やっぱりシードの投資先に時間を使うことが多いです。
シードに投資した僕らとしては、その次のシリーズAに対してどう持っていくかというのが一番重要だなと思ってます。起業家の人は、シードの段階は経営者なんですけども自分がプレーヤーみたいなものなので、基本ずっと足元の事業に集中してる。そこに集中することが大前提で一番大事なんですけど、半歩先とか1歩先ぐらいに落とし穴があったりするのに、足元ばっか見て歩いてると気づかなかったりするので、半歩先、1歩先を代わりに外部CFOのように見てあげて、落ちないようにするとか。
喩え話になっちゃったんですけど、「シリーズAがどういう状態だったら達成され得るのか」という解像度をめちゃめちゃ上げるというのがすごく大事かなと思ってます。そこに対するいろんなディスカッション、事業を動かすのに必要なことをやってますね。シードVCさんは、恐らく皆さんそういうことをやる必要があって、かつ、やってるんじゃないかなと思います。
松山:萩谷さんはいかがですか?
萩谷:そうですね。北尾さんが仰ったことと同じかなと思うんですけど、会社によって隔週でミーティングしたり、毎週ミーティングしたり、月1でミーティングしたりという感じで分かれてます。
「次のラウンドでどういうものを達成してれば、次のラウンドの投資家がしっかり出資してくれるだろう」という逆算をして、KPIを定めて、しっかり目標値に持っていくというのが基本的にやることです。
ただ、別の観点だと、起業家を成長させる必要もあると思ってます。僕らが「こうやってこうやって」と全部指示することではなくて、「こうやったほうがいいんじゃない?」みたいな言い方をします。起業家の勘みたいなのもすごく大事だったりもするんで、最終判断はやってもらいます。でも、あえて失敗させることとかもあったりします。じゃないと、自分で失敗して反省しないとPDCAサイクルも回ってこないんで、残キャッシュとか考えながらですけど、そういうこともやったりしてますね。
白井:優しいですね。でも、失敗させる余裕があるのは、いいことですよね。僕はもう逆で、無駄なことを絶対させないです。
例えば、「こういうサービスをつくりました。どうも認知が弱いので、急にメディアも一緒にやります」というときは、全力で「そのメディアはやめよう、それ何のためにするの?」みたいなのは言いますね。
事業をやっていくうちに、あれこれやったほうがいいんじゃないかと思うものがいっぱい出てくると思うんですよ。そっちにスポンとはまってしまうと、「すごく無駄なことにキャッシュを使うてるやん!」ってなってしまう。だから、無駄なことは一切しない。今の優先順位をちゃんとする。さっき仰ったみたいに、事業をやってるのは僕らじゃないので、「元々やりたいことって何やったっけ?」みたいなのをひたすらに聞きます。もう聞くことはそれだけですね。そう聞けば、「そうでした、やめます」となる人はなるし、やめずに貫く人もいますけど。特に、マイノリティーの出資であればあるほど、それ以上は言いようがない気がします。
松山:ある意味、萩谷さんが仰ってた「質問により成長を促す」みたいなところは、両者共通してるように感じます。
萩谷:しっかりディスカッションしたうえでも正直わからないときもあるので、あえて失敗させるのはそういったときという話ですね。ディスカッションで強い意思を感じなくて、ロジックもなかったら、もちろん止めることもあります。
あと、サービスの方向性として、抜本的なところで明らかに違ったら指摘します。ただ、施策ベースで、どういう改善をしていったほうが目標まで早いかみたいな場合は、とりあえずやってみることもあります。
松山:なるほど。では、少し話は変わりますけど、これから資金調達する人に対して、何かアドバイスとか、注意したほうがいいところとかはあったりします?
萩谷:大前提の話なんですけど、資金調達が全てではないと思います。ファイナンスの方法は創業融資や、最初のプロダクトなら親御さんからちょっと借りてミニマムでテストすることもできます。そんなに急いでVCから調達することが全てではないと思います。
しっかりミニマムなお金でMVPを検証していって、求められている課題とそれに対するソリューションを明確にする。仮説の確実性を高めて、投資家にピッチしたほうが成功確度も高まると思うので、そういう選択肢もあると思います。
松山:それはまさに僕も同感です。お金かけないでやれる検証はやって確実性を高めたうえで資金調達という流れがいいなと感じます。白井さん、何かアドバイスはありますか?
白井:全くロジカルじゃないんですけど、人の持っている「旬」というのが多分あると思うんですよ。「今、来てるわ!」みたいな。そういう旬のタイミングで一気にやりたいタイプの人ならば、大至急で資金調達してやればいいと思うし、自分に何か一つ自信が持てないタイプの人であれば、一個一個ファクトに基づいて事業計画をつくってやっていけばいいと思います。それはもう人それぞれのカラーだと思うので、全員が全員同じやり方じゃなくてもいいと思いますね。勢いがあるっていうのもいいことだと思います。
萩谷:そうですね。勢いがあるときは行ったほうがいいですよね。モメンタムがあったり、ユーザー数が伸びてるときに資金調達をしたほうが、VCからの見え方としてもいいと思います。
松山:僕らのVCとしての共通点って本体組織があることだと思うんですよ。北尾さんも自己紹介のとき仰ってましたけど、本体組織とのシナジーやキャピタルゲインは、皆さんどんなバランスになってるんですか?
北尾:僕らは完全にもうキャピタルゲイン目的、純投資メインですね。VCなので短い時間軸で高い目標値まで行くというやり方です。
特に、インターネット系のファンドはそういう特徴があると思ってます。時間軸が短いことを要する。ファンドの満期も割と7~10年とか。10年が短いわけじゃないですけど、7年ぐらいで組成してるところも多いと思ってて、そういう短期間で行きそうなところは相性がいいと思います。
逆に、バイオやハードウェアはどうしてもつくる時間や研究時間もかかるんで、その分、ビジネスに持っていくまでが時間軸が長い。時間軸が長いものは、投資しにくいですね。
僕らが投資できないのが善し悪しというわけじゃなくて、単純にファンドとの相性があるので、うちは時間軸が短いところと相性がいいと思ってますね。
松山:他の方はいかがですか? 白井さん。
白井:うちはCVCとしてシナジーを創出することを主眼に置いてますね。今のテレビ事業は、もうダウントレンドなんですよ。去年一昨年で、2~3%ずつくらいテレビの広告収入は減っていますし、この勢いでいくと、今550億なので、10年後に100億減るんですよ。この100億の差を埋めると考えると、現状のまま持ち上げるのは無理だから、違うセグメントをつくりたいというのが、経営陣の考え方なんだと思います。
直接、言われたことは一度もないですけど、そういうことだと考えています。じゃあ、100億に到達できるようなビジネスアイデアってそうそうないですけど、自分たちではできないので、支援して、ベンチャーってどうつくれるのかみたいなのはよく考えますね。
松山:僕ら、YJキャピタルとしては、純投資はシナジー目的で、未来のヤフーの事業に貢献するための投資という位置付けです。でも、シード期に関しては、シナジーは純投資ほど考えていません。
先ほどの萩谷さんのお話でいうと、CVCというよりも独立系に近い形になってますけど、KLabとの関係はあまり考えないんですか?
萩谷:そうですね。
これは難しいとこなんですけど、投資がアクティブじゃないと、いい案件が集まってこないという部分もあったりするんですよ。もうそれだったらシナジーを一切考えずに、しっかりとシード、アーリーに投資するVCとしてアクティブにやっていって、その中でいい案件があれば、しっかりと繋いでいこうという考えになっていきました。
松山:ありがとうございます。
それでは、そろそろお時間ということで、これでトークセッションを終わりたいと思います。皆さん、ありがとうございました。
(会場拍手)